私たちについて


 

雇用機会均等法が施行され、80年代後半から90年代半ばまで「これからは女性が活躍する時代」と言われていました。

この研究所立上げコアメンバーは団塊ジュニア世代と言われる40歳~50歳の世代。私たちは男女平等を信じて、希望に胸をふくらませ社会人になり、今振り返ると気づくことがたくさん。

あれから30年以上、自分たちの子どもの世代になっても、まだ「女性の活躍」というスローガンをかかげています。他国と比べても、その改善スピードは遅いことがジェンダーギャップ指数からも良くわかります。

この30年は一体なんだったのでしょうか。制度を整えても変わらなかった、他国から女性活躍のためのコンセプトを取り入れても変わらなかった。これは、日本での「女らしさ」「男らしさ」であったり、人との関わりは「こうするべき」といった、日本人にとっては当たり前のふるまいによるものだと私たちは考えています。


本研究所では、まず活動の第一歩として、女性同士が気兼ねなく話し合える場を作り、日本人にとっての当たり前の中に、解決のヒントを見つけていきたいと思っています。

 

30年後の日本を「女性の活躍」が当たり前の社会にするために!

研究会一同

 

 


メディアサポート研究員

Waka Konohana 此花わか ジャーナリスト

 

社会・文化・映画を取材し、日本語と英語で発信するジャーナリストの此花わかです。

 

団塊ジュニア世代である私は、高校・大学とアメリカに進学し、アメリカで就職したので日本の就職氷河期や男女不均等な社会をそれほど経験したことがなく、女性に課題があることすら知りませんでした。

 

しかし、16年前に日本に帰国し、出産と育児を経て再就職をしようとすると、前職のような仕事には就けず、「私の人生は終わった」という絶望に駆られました。当時30代後半だった私は、出産と子育てに4年費やした後でも、それまでの経験を活かした就職が簡単にできると思っていたからです。

 

たった4年間のギャップがこれほど私のキャリアに悪影響を及ぼすとは思えず(しかも帰国したのは夫の転勤が理由)、家族にこのことを話しても、「そんなことは分かっていたはず」「選んでいるから仕事がないんだ」「日本がこんな国とは分かっていたはずだろう」と反対に責められる始末。そのせいで、「私は何もできない」と自己否定をするようになり、人生が自分自身の手から離れてしまったような無力を感じたり、「母」と「妻」でいることに満足できない自分がわがままなのかなと自問自答したりするようになってしまいました。

 

ところが、私が再就職できなかったのは日本の社会構造が原因だということに気づいたきっかけがありました。それは、外国人のママ友たちが自国へ帰るときちんと、前職のような再就職をしていたのを目のあたりにしたからです。

 

そうして、某雑誌の翻訳ライターというバイトを皮切りに様々な人に会ってインタビューしたり、女性の課題についてオピニオンを書いたりしていくようになるうちに、板敷ヨシコさんの文献と出会い、女性社会研究所のセミナーに参加しました。いま、私にとって「様々な女性と知り合い、情報や感情を共有し、発信する」ことはジャーナリズム以上に”セラピー”となっています。

 

これを読む皆さんも、何かしらモヤモヤを感じているのではないでしょうか。

それを自分のせいにしているのではないでしょうか。

 

私たち日本女性が感じるモヤモヤの多くは、日本の社会構造から来ています。

日本の戸籍、税制、採用区分、就業スタイル、家族の在り方、学閥社会などすべてが、強固なジェンダーロールにより成り立っています。

 

私たちはわがままではないし、

がまんしなくてよい。

 

女性社会研究所は、私たち女性が前向きで建設的な人生を歩むための”言葉”と”連帯”を与えてくれる場所だと思います。

 

ジャーナリスト・此花わか


協力研究者

Ayaka Mawarida 廻田彩夏 ソーシャルアクティビスト

 

教育xソーシャルアクティビズムをバックグラウンドに感情知能EQの講師として現在アメリカを中心としたグローバル全体と日本とをベースに活動をする廻田彩夏です。肩書きとしては、日本のEQ&Equityが学べるプラットフォームDAIJOUBUの創設者/CEO、世界最大のEQNPO団体Six Secondsのユニセフ世界こどもの日EQ教育プログラムのグローバルコーディネーター、企業や学校、個人向けのEQ/DEIB講師・コンサルタントという現在。

 

1988年日本生まれ、日本育ち。17歳から24歳の間に仕事や社会活動(音楽、教育)でスペイン、メキシコ、カナダ、フィリピン、ブラジルを訪れ視野を広げた経験が、持ち前の寛大さと違和感センサーを育んだように思います。新卒で総合商社に入社、日本のいわゆる大企業のカルチャーも働き方も痛いほど経験しました。軽度の鬱病になったころに最初の結婚、妊娠を機にフリーとなり、NPOや社会起業の新規事業サポートに入り、年子の2人目を出産直後に離婚。シングルマザーとして7年間日本で働き暮らして、子どもが中心になっていない社会の在り方に何度も遭遇。再婚を機に2021年アメリカへ移住し、現在はミックスの赤ちゃんが加わり3児の母。日米両方、さらにアメリカ国内複数の州での子育てを通じて、社会、政治、法律、教育について違いと効果を観察しています。

 

2024年アリゾナ州立大学院ソーシャルジャスティスと人権修士課程を卒業。在学中は社会が個人に与える感情レベルでの影響について、自身の「日本で生まれ育った日本人女性」と、「アメリカに暮らすアジア人移民女性」としてのポジショナリティをレンズに、感情的な無権利性と交差性(intersectionality)について研究。EQ講師として、ソーシャルジャスティスの考え方を取り入れたEQアプローチによる教育的介入プログラムの開発・ファシリテーションを通じて、教育現場や企業、個人向けに、葛藤のヒーリング、セルフサイエンス、チームビルディング、組織開発、DEIB開発を行っています。

 

私の研究、活動の中心は、感情的無権利状態を終わらせること。感情的無権利状態の反対は、「わたしには権利がある、私は声をあげていいし、私の声は必ず聞かれる」という心理的自信・安心のこと。これを持てていない人が、世の中には多すぎる。

 

私は女性に限らず、抑圧と搾取を正当化・温存している家父長社会と資本主義社会に対して明確にノーを言う立場です。そのため、日本語圏では女性や若者のための活動に、アメリカでは白人以外の人種を中心にした様々な交差的な要素で不利な状況に追いやられている人々のための活動に、連帯しています。

 

END Rightlessness.

 

リンク

https://sites.google.com/asu.edu/ayaka-mawarida/
https://www.linkedin.com/in/ayakamawarida/ 

 


Momoko Kagesawa 影澤桃子 フェミニスト/アクティビスト/リサーチャー

 

1997年生まれ、埼玉県出身。埼玉県立浦和第一女子高校から東京学芸大学に進学し、大学在学中にソウル市立大学、香港中文大学に交換留学をしました。韓国での大規模な#MeToo運動とフェミニズム文学の台頭を目撃したことや、香港にてジェンダー学の授業を受けたこと、大規模な民主化運動を経験したことがきっかけでフェミニスト/アクティビストになり、ジェンダー研究にシフトするきっかけになりました。大学卒業後、2021年に英国ヨーク大学大学院女性学修士課程に入学し、2022年に修了しました。

学業を終えた後もイギリスに残り、ゆるく仕事をしながら学会で発表したり、いろいろなプロテストに参加したりして、アクティビスト/リサーチャー活動を続けています。現在ではロンドンのnon-profitのラディカル本屋やフェミニストライブラリ等でボランティアをしたり、リモートで日本の人権NGOで女性の権利に関わるインターンとしてリサーチ・発信をしたり、若者のアクティビスト団体のメンバーとしても活動をしています。

最近では博士課程進学と自分のスモールビジネスをスタートするための準備もしています。

 

わたしは、女性たちに自分に力があることを知ってほしい、フェミニストであることを恥じない、誇りに思ってほしいという思いをこめて活動をしています。自分自身がこれまでいろいろなことにチャレンジできたのは、比較的恵まれた、ラッキーな環境にいたことが大きいという特権を自覚しながらも、それでも振り返ってみると、一歩を踏み出せたきっかけや夢を持てたきっかけには、背中を押してくれた女性、インスピレーションをくれた女性の存在がありました。また、イギリスに来てから経験している、自分の周りの友達や先生、同僚が当たり前にフェミニストである環境には、あらゆる差別や人権侵害に反対し、連帯しあうコミュニティの心強さ・安心感、身近にロールモデルになる女性がいることで広がっていく自分の夢があります。女性というだけで差別的な扱いを受けることがまだまだ多いこの社会で、女性に連帯し背中を押す女性の輪を広げていけたらと思っています。

 

出版(予定)

9. 2024. "Japanese hashtag feminism and collective knowledge production: How has #KuToo created collective knowledge and what are the challenges for feminists’ knowledge production?". Cultivate Issue 6: Eras of Feminism.


代表

板敷ヨシコ 女性の声アドボケーター

 

1971年生まれ。ランカスター大学(英国)社会科学部 教育リサーチ課 修士課程にて「社会正義と教育」にて「女性の野心はどのように砕かれるのか」を主軸に研究後、社会にポジティブな変化をもたらすために「女性の声」の活動をスタート。 日本女子大学(文学部教育学科心理学専攻)、浦和第一女子高校OG、日本記号学会所属

 

2024年2月出版:"Towards emancipatory dialogues on girls' social positioning in schools: Uniforms and work fit for future Japanese women? Chapter9 of Rethinking Education and Emancipation, Springer Nature (日本の学校における女子の位置づけに関する解放に向けた対話に向けて: 女子制服の興味深い事例)

 

修士論文:Semiotics of Gender Norms through Schoolgirls Uniforms and Female Representations: Teachers’ Interpretations (女子制服と女性表象によるジェンダー規範の記号論: 教師の解釈)

 

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